小説とパティシエに捧げた20代前半の迷走と、転機。Webエンジニアという仕事について。

Kenpal株式会社のWebエンジニア。沖縄に住んでいて、小説が好き。趣味は創作。エンジニアをやる前はパティシエをやっていて、焼き場を担当していた——ぼくの属性を書き連ねるとこんなところだ。

せっかくだから、ぼくのことを以下でもう少し詳しく書いてみようと思う。

大学

ぼくの大学生活は、それはもう酷いものだった。何かを学ぶより、自分のアイデンティティを構築するのに必死だった。

だから当時の記憶は、小説と、深夜のゲーセンと、海だ。よき友人に恵まれたから、ただ夢中になれることに没頭していた。

その結果、ぼくは自分の手で「自分以外の何か」を作ることに興味を持った。人は生まれてすぐの赤子に学習と成長の加速度のピークを迎えて、あとは衰えていく。自分の何もかもが劣化して醜くなってしまう代わりに、自分の手で何かきれいなものを作りたい——そう思ったのが、ぼくのものづくりの起点だ。

詳細は割愛するけど、そうしてぼくは創作にハマった。小説を書き、DTMの下手な真似事をし、デッサン教室に通い、そしてある日の午後。いつもの帰り道で、アップルパイの美味しいケーキ屋さんの、未経験パティシエ募集の求人を見かけた。

製菓

迷わず申し込み、面接に臨み、落ちた。すぐに電話をかけて、それでも雇ってくれないかと頼み込んだ。結果、ぼくはバレンタインデー間近のケーキ屋で、カスタードクリームを炊き、シューを焼き、アップルパイを作ることになった。

製菓の仕事は楽しかった。延々と先輩に怒られてばかりの日々も、年数が経てばそこそこの腕になり、少なくとも職場の戦力にはなれるようになった。先輩とシェフパティシエのありがたい指導にも恵まれた。気づけば焼き場(生地作りとその焼成)を中心的に任せられるようになり、自分のレシピで新製品を店に並べるようにもなった。シフォンとフロランタンは、特に自信があった。

そして、転機が訪れた。プライベートなことだから詳細は割愛するけれど、とりあえずお金が必要になった。なりゆきで始めた製菓の仕事でそれを実現するのは非現実的だったから、転職することにした。転職活動は1度失敗し、1ヶ月で方向転換した。親友のツテを借りて、未経験のWebエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた。

Web Developer

それから後のことは、よく分からない。ぼくはただ必死に、Webエンジニアとして好きなものを自由に作れるよう手当たり次第に学んでいった。エンジニアなりたてで参加したJJUGで、登壇していたベテランのエンジニアさんたちの姿をよく覚えている。ああいうすごい人たちに近づきたいと思って、書籍を買い漁り、見様見真似でコードを書いた。

今、ぼくはフルスタックのWebエンジニアとしてKenpal株式会社というところで働いている。安易に「フルスタック」というと怒る人がいるから、 実はあまり堂々とフルスタックと名乗るのは気が引けたりもするのだけど、名前負けしないよう出来ることの幅を広げている。

好きな技術はサーバレスアーキテクチャだ。サーバレスアーキテクチャには、小規模・中規模のチームでも世界を変えるようなアプリケーションすら作れるという可能性がある。少ない手数で駒を動かして、大きなものを作ることができる。それが好きだ。